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問題のキーワード
海外旅行、2か月前、下痢、粘血便
選択肢を検討する
画像Aでは大腸壁のびらん、浮腫を認める。Bでは偽足を出しているアメーバを認める。大腸炎を引き起こすアメーバは赤痢アメーバである。その合併症を問う問題。
△a.稀に脳に膿瘍を形成することもある。
〇b. 赤痢アメーバは大腸粘膜を破壊して血行性に肝臓に到達し、肝膿瘍に至る。
×c.全く関係がない
×d. 全く関係がない
×e. 溶血性尿毒素症候群は腸管出血性大腸菌EHECなどでみられる合併症である。大腸粘膜を破壊して粘血便を伴うことがあり、Bの写真が分からなければ迷う選択肢。
正解
b. 肝膿瘍
現場で役立つ知識
- 現在、アメーバ赤痢、アメーバ性肝膿瘍の患者の半数以上は日本国内で、性的接触により感染したと推定されている(性行為感染症→他の性感染症の検索が必須)。また患者の9割が男性。
- 肝膿瘍の半数以上は大腸病変がない、身体所見に乏しく、見逃し注意!
- 治療はメトロニダゾール(アメーバの栄養体を殺す)とパロモマイシン(嚢子を殺す)を両方投与する。
- 膿瘍は多くの場合は肝臓だけだが、稀に脳や皮膚に形成することもあるため、病変の検索が大切。
- 膿瘍は治療のためのドレナージが不要な場合が多い(大きさや部位による)。