医師国家試験問題解説

マラリアの基礎知識

107I26
選択肢を検討する

マラリアの基礎知識を問う問題。

×a. 蚊(ハマダラカ)が媒介する

×b. 日本では1960年代に根絶されており、現在はすべて輸入例である。(成田空港周辺で持ち込まれたハマダラカから感染したと思われる症例が報告されたことがあるため、絶対0とまでは言えない。)

△c. アフリカで乳児をターゲットにワクチンが上市されたが、30%程度の有効性であり、「有効」とは言い難い。(出題当時は×)

×d. マラリア原虫は赤血球に寄生する。

〇e. 4類感染症であり、診断後は直ちに届け出る必要がある。

答え

e. 診断後速やかに保健所に届け出る。

現場で使えるポイント

地球上のほぼすべての熱帯(特にアフリカ)と一部温帯(韓国でも年間数百例)でマラリアの感染リスクがある

 → 発熱患者には必ず海外渡航歴を聞くことを忘れずに!

マラリアと診断したら可能な限り入院させる:急速に悪化することがある。

重症マラリア(servere malaria)は緊急を要する:意識障害、肺、肝、腎障害、出血傾向等が特徴。

→熱帯病治療薬研究班の医療機関に転送を検討する。

重症でなくても、治療薬が入手困難な場合もあるため、入院前に要確認。

ABOUT ME
清水 少一
産業医科大学医学部 免疫学・寄生虫学 講師/ 医師、博士(医学)、感染症・総合内科・産業衛生のトリプル専門医。 Researchmap https://researchmap.jp/show1