医師国家試験問題解説

インドから帰国後の抗菌薬が効かない下痢

115D24
選択肢を検討する
  • 海外から帰国後の下痢。レボフロキサシン(ニューキノロン系抗菌薬)が効かず、2週間続いている。長期に続く下痢には原虫感染症が鑑別に入る。
  • 写真は非常にわかりずらい写真だが、特徴的な洋ナシ形でランブル鞭毛虫を鑑別する必要がある。過去問にも同じ画像が出題された(そして専門家の間で酷評された)
  • ランブル鞭毛虫症(ジアルジア症)の治療薬はメトロニダゾールである。
  • もし写真がない場合は正解を導くのが困難であるが、長期に渡る下痢、現行のレボフロキサシンが無効であることを考慮すると細菌以外にも有効なメトロニダゾールを相対的に導く。
正解

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現場で役立つ知識
  • 海外渡航者の下痢は発熱や血便でない限りは自然治癒が期待できることが多い。逆に抗菌薬を投与することで腸内フローラを乱し、下痢の長期化や耐性菌の問題も起きる。
  • 設問ではレボフロキサシンを投与しているが、インドではニューキノロン系の耐性菌が多いため不適切。もし抗菌薬が必要ならアジスロマイシンの投与の方が適切。便培養の採取も忘れずに。
  • ランブル鞭毛虫症=ジアルジア症 5類感染症(7日以内に保健所を通じて都道府県知事に届出)

ABOUT ME
清水 少一
産業医科大学医学部 免疫学・寄生虫学 講師/ 医師、博士(医学)、感染症・総合内科・産業衛生のトリプル専門医。 Researchmap https://researchmap.jp/show1