医師国家試験問題解説

血痰と変わらない画像所見

107D27
キーワードを抽出する
  • 血痰
  • 変化のない胸部X線 
  • 気管支拡張
  • Gaffky 3号 ・・・ 抗酸菌陽性
  • IGRA陰性 ・・・ 結核は否定的
選択肢を検討する

×a. 粟粒結核は血行性に結核菌がばらまかれた状態。ほとんどが易感染状態の患者に起き、この問題文のような状態の良い患者はいない。ただし、易感染宿主ではIGRA陰性の結核はあり得るので注意。

×b.過敏性肺炎はトリコスポロンなどの環境曝露によって発生。画像は全般性のすりガラス影が特徴的。

〇c. ガフキー陽性でIGRA陰性であればまず非結核性抗酸菌症を疑う。

×d. 問題文のような長期経過をとらない。若い人が多い。血痰も稀。

×e. びまん性汎細気管支炎は全肺野に気管支拡張や気管支肥厚、粒状影が特徴。慢性副鼻腔炎の合併が多い。

解答

c. 非結核性抗酸菌症

現場で役立つ知識
  • 非結核性抗酸菌症NTMは現在結核よりも有病率が高いと考えられている
  • 治療はM. avium complex(MAC)に対してはクラリスロマイシン+リファンピシン+エタンブトールを基本とし、多くの場合1.5年以上投与が必要。難治例が多い。
  • 感受性検査の結果はほぼ当てにならない。
  • 易感染宿主、HIV/AIDSでは全く異なる病像を呈することがある:腸炎、骨髄炎等。
  • 特に易感染宿主ではIGRAの結果が当てにならないため、菌の培養同定が必須。

ABOUT ME
清水 少一
産業医科大学医学部 免疫学・寄生虫学 講師/ 医師、博士(医学)、感染症・総合内科・産業衛生のトリプル専門医。 Researchmap https://researchmap.jp/show1