医師国家試験問題解説

マラリアの染色

111F13
選択肢を検討する

これ自体を知らなくても、ギムザ染色を末梢血の染色に用いる、マラリア原虫が赤血球に感染していることをつなげられれば答えられるが…

×a. 抗酸菌以外の細菌の染色

×b. ニューモシスチスを含む真菌の他、ノカルジア、放線菌にも用いる

〇c. 末梢血塗抹標本の染色に用いる。血液腫瘍の診断目的に二種類の染色液(メイグリュンワルド染色液およびギムザ染色液)を使う方法であり、マラリアの診断目的であれば単なるギムザ染色でも十分である。

×d. 細胞診で悪性腫瘍を検出するための染色

×e. 結核菌などの抗酸菌を染める。これを基礎とした変法はクリプトスポリジウムの染色にも。

現場で使えるポイント

ギムザ染色やメイギムザ染色では染色液を薄めるための緩衝液をpH6.4に設定している。

しかし、マラリア原虫の染色ではpH7.2を用いる。これは、赤血球内の原虫をより濃く染め、検出率を高めるため。逆にこのpHでは血球が濃く染まりすぎるため血球の観察には不向き。

そのため、マラリアの検査オーダーをする際には、この点を検査室に話しておくとよい。

ABOUT ME
清水 少一
産業医科大学医学部 免疫学・寄生虫学 講師/ 医師、博士(医学)、感染症・総合内科・産業衛生のトリプル専門医。 Researchmap https://researchmap.jp/show1