医師国家試験問題解説

5か月続く咳嗽

108D21
キーワード
  • 5か月前からの咳嗽
  • イノシシの生肉を調理
  • 好酸球28%
  • 胸膜直下の病変、気胸

好酸球増多から寄生虫症が鑑別に入る。イノシシ肉から感染する肺に病変を形成する寄生虫は何だろうか。

選択肢を検討する

×a. 慢性咳嗽、胸膜病変から鑑別に当然入るが、他に結核を積極的に示唆する情報が問題文に入っていない。

×b. 肺化膿症ならばもっと広範囲に胸膜下病変があり、炎症反応も亢進する。

〇c. すべての情報が一致する。

×d. 肺野病変が典型的。

×e. 血管の走行に合せて病変が出現する。敗血症を疑う情報は問題文にはない。

正解

c. 肺吸虫症

現場で役立つ知識

肺吸虫は淡水産のカニ(サワガニ、モクズガニ)やイノシシ、シカ肉を食べて感染する症例が多い - 病歴が重要

結核と鑑別を要する病変:結節影、胸水など多彩

肺以外に中枢神経や皮下に病変を形成することもある

診断は抗体の検出によることが多い。虫卵は検出困難なことも多い。

治療薬:プラジカンテル(ビルトリシド®)

ABOUT ME
清水 少一
産業医科大学医学部 免疫学・寄生虫学 講師/ 医師、博士(医学)、感染症・総合内科・産業衛生のトリプル専門医。 Researchmap https://researchmap.jp/show1